安眠セラピー

 

日中、眠気におそわれることが多い方や、いびきを指摘されたことがある方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。当院では、睡眠時無呼吸症候群の方に呼吸器内科と連携して、歯科的治療を行っております。

2003年2月26日、山陽新幹線の居眠り事故で、当該運転士が睡眠時無呼吸症候群だったという発表がありました。何百人の命を預かる運転士でさえ、運転中の眠りに陥ってしまう恐ろしい病気です。

この事故により、睡眠時無呼吸症候群が一躍、脚光を浴びるようになりました。

(睡眠の生理学的考察はこちらをご参照ください。)

 

     睡眠時無呼吸症候群とは?

 

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)

睡眠時に無呼吸または低呼吸になることです。その分類は、

中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome:CSAS) 呼吸中枢の障害により呼吸そのものが停止してしまうもの。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS) 睡眠中、舌根部や軟口蓋が沈下することにより、上気道が閉塞され無呼吸状態になるもの。
混合型睡眠時無呼吸症候群(mixed type) 両者によるもの。

の3つに分けられます。その中で、歯科的治療として扱われるのは、もっとも多い閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)です。

 

     OSAS発症のメカニズム

 

OSAS発症のメカニズムを上気道の解剖をみながら、検討していきましょう。

上気道とは、気道のうち、鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭を言います。

通常、仰向けになると、舌が重力により沈み込み(舌根沈下)、気道が狭くなります。これが非常に狭くなった状態にいびきが引き起こされます。

さらにその状態が強く、気道が閉塞してしまった状態で無呼吸になります。

 

     内視鏡検査

 

OSASの検査法には、睡眠ポリグラフ検査や内視鏡検査があります。睡眠ポリグラフ検査は、呼吸器内科医による検査です。当院では、気道の状況を、明視下で確認するために内視鏡検査を実施しております。内視鏡検査は気道の開き方、開く量などをその下顎の変位量によりカメラ越しに明視下で確認することができる唯一の方法です。レントゲン規格写真では2次元でしか捉えられないので、確実性がないと言うことと、その他の方法ではテストを重ねて変位量を決定せざるを得ません。それほど、睡眠時無呼吸症候群の検査には内視鏡検査が優れていると言うことです。 

→内視鏡検査について詳しくはこちらをご参照ください。

大阪大学顎口腔機能治療部のホームページにも内視鏡検査に関する記載があります。

 

     スリープスプリント療法

 

そこで、閉塞もしくは狭くなってしまった気道を再び通りよくするために行われる治療のひとつが、スリープスプリント療法です。沈み込んだ舌根を上げてやるには、下顎を前方に挙上させてあげる必要があります。実際、どのようなものかご覧ください。

ただの、上下顎に装着するマウスピースに見えます。しかし、模型にはめてみましょう。

上顎にはめてみると、下顎が合いません。つまり、下顎を前方に出した状態でないと、かみ合わないわけです。これで、気道の閉塞を防ぐわけです。

模型を見ながら、その様子を観察してみましょう。下の画像、一番左は、覚醒時です。真ん中は仰向けになったときに、舌根沈下して、気道が狭くなっている様子がわかります。右の画像はスリープスプリントを装着したときを想定して、下顎を矢印方向に前に出してあります。気道が広がりました。

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