一元配置法

一連の過程を経て得られた複数の結果は、様々な要因でその結果が異なる場合が多いものです。たとえば、違う工場で同じ商品を作った場合、A工場の商品の方がB工場の商品より故障が多いとか、同じ料理を異なる人がつくった場合に味が異なるといった具合です。 

A工場の商品とB工場の商品を比較するとき、その要因(因子)は例えば気候の違いであったり、機械の違いであったり、技術者の熟練度であったりするわけです。このように多くの場合は複数の要因が考えられるわけですが、その中で他の要因を一定にして、一つの要因について様々な水準で比較検討する場合を一元配置法と呼びます。

例を見ていきましょう。

A,B,Cの3種類の機械で清涼飲料水を製造しているとします。これらの機械が製造する商品の350ml中の糖分含有量は以下の表に示すとおりでした。これら3種の機械に差があると言えるか?
  A B C
1日目 19.7 20.4 20.3
2日目 19.9 19.8 19.8
3日目 20.1 20.1 19.9
合計 59.7 60.3 60.0
平均 19.9 20.1 20.0

前ページの考え方に沿って見ていきましょう。まずは、仮説から。

帰無仮説”個人差のばらつきはなく、誤差のばらつきのみである。”

では個人差のばらつきから考えていきましょう。

”個人差のばらつき” = 各個人の平均 - 総平均

なので総平均20.0より個人差のばらつきは

個人差のばらつき
A B C
-0.1 0.1 0

次に誤差によるばらつきは、

”誤差によるばらつき” = 各データ - 各個人の平均

より、

誤差によるばらつき
A B C
1日目 -0.2 0.3 0.3
2日目 0 -0.3 -0.2
3日目 0.2 0 -0.1

次に、”個人差のばらつき”、”誤差によるばらつき” それぞれの分散を求めます。

”個人差のばらつき”の分散

= {(-0.1)2×3 + (0.1)2×3 + 02×3 }/(3-1)

= 0.03

”誤差によるばらつき”の分散(自由度=データ数-列の数)

= {(-0.2)2 + 02 + 0.22 + 0.32 + (-0.3)2 + 02 + 0.32 + (-0.2)2 + (-0.1)2 }/(9-3)

= 0.067

ここで不偏分散の比Fは

F = 0.067/0.03 = 2.22

自由度が2および6のF分布表の値は有意水準0.05のとき5.14( > 2.22)。

よって仮説は棄却されず、機械によりばらつきがあるとは言えないことになります。

 一元配置法