2項分布

次のような実験を考えます。

ベルヌーイ試行 (Bernoulli Trials)

この実験はその要素が0か1のみの無限母集団で1の比率を p とおくと0の比率は q ( = 1-p )となります。この試行を n 回行っても毎回同じ条件で行われ、各結果は互いに影響しない(独立である)。

このような実験(試行)を(長さ n の)ベルヌーイ試行といいます。

ベルヌーイ試行の例としてよくあげられるのが、次のようなものです。

コインを投げ、表がでれば1,裏がでれば0とします。この試行を n 回行います。ただし、コインがたつことはないものとします。

表の確率を p とし、裏の確率を q (=1-p) とすると、確率変数 Xi ( i = 0,1,2,…n)は、

Xi = 1(表:確率p) or 0(裏:確率q)

となり、(a1,a2,a3,…,an)=0or1 としたとき、

P(X1=a1,X2=a2,X3=a3,…,Xn=an)=paqn-a  (a=Σai)

となります。

長さ n のベルヌーイ試行において、1の個数をXとします。このとき、

2項分布 (Binominal Distribution)
P(X=k)=nCk pkqn-k=nCk pk(1-p)n-k (k=0,1,2,…,n)

において、確率変数Xはn,pがきまれば、その分布がわかります。これを2項分布と呼び、B(n,p)とあらわします。

例を一つ考えてみましょう。

例題
さいころを10回ふって、3以上の目が4回以上でる確率を求めよ。

さいころで、3以上がでる確率は、4/6=2/3です。従いまして、それが4回以上である確率は、2項分布B(10,2/3)に従います。

P(X≧4) = 1 - P(X≦3)

= 1 - P(X=0) -P(X=1) - P(X=2) - P(X=3)

= 1 - (1/3)10 - 10C1(1/3)9(2/3)1 - 10C2(1/3)8(2/3)2 - 10C3(1/3)7(2/3)3

= 0.980

Xの積率母関数は、

Mx(t) = Σetkpk

= Σetk(nCkpkqn-k)

= ΣnCk(pet)kqn-k

= ( pet + q )n  (2項定理より)

= ( pet + 1 - p )n

Mx'(t) = npet(pet + 1 - p )n-1

より

M'x(0) = np( p + 1 - p )n-1 = np

Mx''(t) = n(n-1)p2e2t( pet + 1 - p )n-2 + npet(pet + 1 - p )n-1

より

Mx''(0) = n(n-1)p2( p - 1 - p )n-2 + np( p - 1 - p )n-1

= n(n-1)p2 + np

E(X) = M'x(0) = np

V(X) = Mx''(0) - {M'x(0)}2 = n(n-1)p2 + np - (np)2 = np(1-p)

確率関数
nCkpkqn-k
積率母関数
( pet + 1 - p )n
平均
np
分散
np(1-p)

 2項分布