ゴールドバッハの予想 (Goldbach's conjecture)

1742年6月7日、プロシア生まれの数学者、ゴールドバッハ(Christian Goldbach)はオイラー(Leonhard Euler)宛ての手紙の中に次のような予想書いています。

ゴールドバッハからオイラー宛の手紙

5よりも大きい自然数は3つの素数の和であらわすことができる。(予想)…(*)

これに対してオイラーは次のような返事を書いています。

オイラーの返事
 (*)は、

 ”4以上の偶数は2つの素数の和であらわすことができる”…(**)

 ことと同値。

ゴールドバッハの予想は未解決問題の中でも非常に有名なものです。

では早速、(*)と(**)の同値性を確認してみましょう。

(証明)

まずは、(**)⇒(*)からみてみましょう。

4以上の偶数を、2n-2( n = 3、4、5、6、…)とおくと、

2n-2 = p1 + p2 ( p1 、p2 は素数)

と置くことができますね。

そこで両辺に素数3を加えると、

2n+1 = p1 + p2 + 3

となります。ここで左辺の2n+1は( n = 3、4、5、6、…)より、

2n+1 = 7、9、11、13、…

なので、5よりも大きい(7以上の)奇数は3つの素数の和であらわされることが示されました。

6以上の偶数に関しても同様に、

2n-2 = p1 + p2 ( p1 、p2 は素数)( n = 3、4、5、6、…)

と置くことにより、両辺に素数2を加えて、

2n = p1 + p2 + 2

とあらわすことができるので、成立することが分かります。

では次に(*)⇒(**)を考えましょう。

(*)が成り立つならば、6以上の偶数 2n+2 ( n = 2、3、4、5、…)も、

2n+2 = p1 + p2 + p3 (p1 、p2 、p3は素数)

とあらわすことができるはずです。

ここで両辺を比較すると、左辺は偶数。よって右辺の3つの素数のうちの1つまたは全てが偶数の素数つまり2でなければならない。仮にp3を2とすると、

2n = p1 + p2

( n = 2、3、4、5、…)なので4以上の偶数は2素数の和であらわすことができる。

(証明終)

これで(*)と(**)の同値性が確認できました。

続く

 ゴールドバッハの予想 (Goldbach's conjecture)