フェルマー・オイラーの定理はフェルマーの小定理の拡張と考えてください。
フェルマー・オイラーの定理
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( a,n ) = 1 ならば
aφ(n) ≡ 1 ( mod n ) …(*) |
ここで、( a,n ) とは、a と n の最大公約数をあらわし、それが1であるということは、a と n が互いに素であるということです。
またφ(n)はオイラー関数といい、n より小で n と互いに素な自然数の個数をあらわします。
ここで n が素数 p の場合、p より小の自然数で p と互いに素な自然数は、1から(p-1)のすべてなので、
φ(p) = p - 1
となります。このとき特に、(*)の定理をフェルマーの小定理といいます。
ではその拡張形、フェルマー・オイラーの定理を考えましょう。これは、1640年にフェルマー(Pierre de Fermat 1601-1665)がフェルマーの小定理を述べたあと、1760年にオイラー(Leonhard Euler 1707-1783)が拡張したものです。
・n で割って i 余る数を
( i : mod n) ( i = 0、1、2、3、…、n-1)
とあらわし、mod n に関する i の剰余類(合同類)といいます。
例) ( 3 : mod 7) = {…、-11 、-4 、3、10、17、…}
また特に
( i,n ) = 1
のとき mod n の既約類といいます。
例)n = 12、a = 7 の場合を考えてみましょう。
12より小さい自然数は(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11)で赤字は12の約数、下線は12と互いに素な自然数をあらわしています。
φ(12) = 4
aφ(n) = 74 = 2401 ≡ 1 (mod 4)//
確かに(*)は成り立ちます。
ここで mod 12 の既約類を並べてみましょう。
( 1 : mod 12)、( 5 : mod 12)、( 7 : mod 12)、( 11 : mod 12)
この1、5、7、11に a = 7 をかけたものを並べると、
( 7・1 : mod 12) = ( 7 : mod 12)
( 7・5 : mod 12) = ( 11 : mod 12)
( 7・7 : mod 12) = ( 1 : mod 12)
( 7・11 : mod 12) = ( 5 : mod 12)
つまり、mod 12 の既約類に12と互いに素である数7をかけても(順番は替わるけど)、やはり、mod 12 の既約類になります。
したがって、
(7・1)・(7・5)・(7・7)・(7・11) ≡ 1・5・7・11 ( mod 12)
1、5、7、11はそれぞれ12と互いに素なので、両辺を1・5・7・11で割れば、
74 ≡ 1 ( mod 12 )
となり、74の4は1、5、7、11の個数、
φ(12) = 4
をあらわしています。
以上で、フェルマー・オイラーの定理を証明したわけではないですが、例から何となく理解していただけたのではないでしょうか?